関連文献概要集

大血管障害予防を目指した糖尿病治療におけるアカルボースの有用性
学術雑誌名 Diabetes Frontier 
組織 那珂記念クリニック 
著者 遅野井健 
概要 Q 糖尿病治療におけるアカルボースの位置付けを教えてください. A 糖尿病治療の目標は, 合併症の発症・進展を抑制することです. 合併症のうち大血管障害については, 厳格な血糖管理と同時に低血糖・体重増加をきたさないようにすることの重要性や, 食後高血糖との関連性が指摘されています. α-GI(α-グルコシダーゼ阻害薬)であるアカルボース(グルコバイ(R))は, STOP-NIDDMおよびMeRIA7という2つの研究において, 心血管イベントの発症を抑制したことが報告されています. これはアカルボースの, 食後高血糖を抑制する機序や, 体重変化への影響が寄与した可能性が考えられます. さらに, 最近, アカルボースの投与によって, 腸内細菌が産生する水素ガスの量が増加することが明らかになりました. この水素ガスが酸化ストレスを解消するものと推測し, われわれは, アカルボースの投与により産生した水素ガス濃度と, IL-1βの発現量が逆相関するか検討を行っています. 
水素ナノバブル溶存水(電解透析)で血液透析の副作用は少なくなりますか?
学術雑誌名 Q&Aでわかる肥満と糖尿病 
組織 福島県立医科大学腎臓高血圧内科 
著者 中山昌明, 林義満, 旭浩一 
概要 1. 慢性維持透析患者の状況 現在, 国内の慢性維持透析患者は約30万人存在します. その数は, 生活習慣病(特に糖尿病)や加齢による腎障害例の増加を反映して, 年々増加していますが, その一方で, 死亡例も多く, 維持透析患者の年間死亡率は約10%に達します. 死因の最多は心疾患, 感染症ですが, この医学的背景には, 腎不全患生体障害因子に加え, 上述の糖尿病合併症の影響が大きく影響しています. 腎不全や糖尿病の合併症進展に共通する基本的な機序として, 炎症・酸化ストレスの重要性が認識されるに及び, 抗酸化, 抗炎症療法は大きな治療戦略として期待されるようになってきました. 2. 水素ガス(H2)溶存水と電解水 近年の研究で, 水素ガスには酸化ストレスを抑制する作用があることが動物実験で確認されてきました. 腎臓, 肝臓, 腸管の虚血性臓器傷害, 慢性ストレスによる脳機能障害の抑制効果が示されています. 
大血管障害予防を目指した糖尿病治療におけるアカルボースの有用性
学術雑誌名 Diabetes Frontier 
組織 那珂記念クリニック 
著者 遅野井健 
概要 Q 糖尿病治療におけるアカルボースの位置付けを教えてください. A 糖尿病治療の目標は, 合併症の発症・進展を抑制することです. 合併症のうち大血管障害については, 厳格な血糖管理と同時に低血糖・体重増加をきたさないようにすることの重要性や, 食後高血糖との関連性が指摘されています. α-GI(α-グルコシダーゼ阻害薬)であるアカルボース(グルコバイ(R))は, STOP-NIDDMおよびMeRIA7という2つの研究において, 心血管イベントの発症を抑制したことが報告されています. これはアカルボースの, 食後高血糖を抑制する機序や, 体重変化への影響が寄与した可能性が考えられます. さらに, 最近, アカルボースの投与によって, 腸内細菌が産生する水素ガスの量が増加することが明らかになりました. この水素ガスが酸化ストレスを解消するものと推測し, われわれは, アカルボースの投与により産生した水素ガス濃度と, IL-1βの発現量が逆相関するか検討を行っています. 
水素ナノバブル溶存水(電解透析)で血液透析の副作用は少なくなりますか?
学術雑誌名 Q&Aでわかる肥満と糖尿病 
組織 福島県立医科大学腎臓高血圧内科 
著者 中山昌明, 林義満, 旭浩一 
概要 1. 慢性維持透析患者の状況 現在, 国内の慢性維持透析患者は約30万人存在します. その数は, 生活習慣病(特に糖尿病)や加齢による腎障害例の増加を反映して, 年々増加していますが, その一方で, 死亡例も多く, 維持透析患者の年間死亡率は約10%に達します. 死因の最多は心疾患, 感染症ですが, この医学的背景には, 腎不全患生体障害因子に加え, 上述の糖尿病合併症の影響が大きく影響しています. 腎不全や糖尿病の合併症進展に共通する基本的な機序として, 炎症・酸化ストレスの重要性が認識されるに及び, 抗酸化, 抗炎症療法は大きな治療戦略として期待されるようになってきました. 2. 水素ガス(H2)溶存水と電解水 近年の研究で, 水素ガスには酸化ストレスを抑制する作用があることが動物実験で確認されてきました. 腎臓, 肝臓, 腸管の虚血性臓器傷害, 慢性ストレスによる脳機能障害の抑制効果が示されています. 
パーキンソン病患者における水素水の無作為化二重盲検試験
学術雑誌名 運動障害 
組織 1)順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科, 2)順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院神経内科, 3)名古屋大学神経内科保健学科神経生理, 4)日本医科大学加齢科学系専攻細胞生物学分野 
著者 頼高朝子1),2), 高梨雅史1), 平山正昭3), 中原登志樹1), 太田成男4), 服部信孝1) 
概要 「要旨」: 分子状水素は・OHラジカルを選択的に減少させ酸化ストレスの関与する疾患の治療に期待が持たれている. パーキンソン病の疾患モデルに水素水を飲水させ, ドパミン神経細胞の減少を抑えたことから, パーキンソン病にも効果が期待された. 無作為化二重盲検併行群間試験をレボドパ内服中のパーキンソン病患者に対して行った. 水素水または水素の含まない水を1,000ml/日48週間飲水した. 主評価項目の48週目のUnified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)の変化量は, 偽水群が平均+4.1(標準偏差9.2)に対し水素水群-5.7(8.4)と有意差を認めた. 酸化ストレスの指標である尿中8-OH-dGの変化量に有意差は認めなかった. レボドパ内服中のパーキンソン病患者に水素水は安全で, 症状改善効果を認めた. 「背景」パーキンソン病においてミトコンドリアの複合体Iの障害や, α-ketoglutarate dehydrogenase複合体の障害が認められ, 中脳黒質のメラニン含有神経細胞で脂質過酸化物である4-hydroxy-2-nonenalが増加していること等をこれまで証明してきた. 
水素療法の神経系疾患に対する効果
学術雑誌名 神経治療学 
組織 日本医科大学大学院医学研究科加齢科学系専攻細胞生物学分野 
著者 太田成男
概要 分子状水素( H2, 以下, 「水素」)には, 生体内において抗酸化作用があり, 様々な疾患の予防や治療に用いられうることを, 2007年にNature Medicineに発表した. その後, 6年間で各地から水素の医学的効用について研究され, 年々発表論文数が増加し, 現在では300に及ぶ論文が動物実験を中心に発表されている. 水素は従来の抗酸化物質とは概念を異にする性質がある. 抗酸化物質の過剰摂取は, H2O2などの生体に必要な活性酸素種も消去してしまう可能性があり, 実際に寿命を短くするなどの副作用があった. しかし, 水素は, ヒドロキシルラジカル (・OH)やペルオキシナイトライト(ONOO-)のような酸化力が強力な活性酸素種を選択的に消去し, 生体内でシグナルとして機能するH2O2などの活性酸素種は除去しないので代謝を乱さず, 副作用の心配が少ない. 
各種学術論文に見る水素水の機能性 パーキンソン病モデルマウスの発症予防効果他
学術雑誌名 食品工業
組織
著者  月田信太郎 
概要 (株)アーガコーポレーション(表俊明社長, 本社: 愛知県名古屋市中区錦1-5-28ミワビル6階. TEL 052-231-1100. 平成23年11月以降の新住所・電話番号)は, 水素発生能力, 溶存水素濃度(ppb), 酸化還元電位で非常に性能の高い水素水サーバー(家庭用, 自動販売機)を開発, 本格的な販売を始めた. 同時に同社学術スタッフがまとめた水素水の生体に及ぼす作用や安全性の研究に関する学術論文によると, 本誌前号の水素の活性酸素の除去能, 高濃度溶存水素水による抗がん効果と活性酸素抑制効果などに続いて, 水素水によるパーキンソン病モデルマウスの発症予防効果, 水素療法は宇宙飛行中の放射線で誘発の酸化ストレスを軽減する, アルツハイマー病の改善作用などの報告があげられている. 「パーキンソン病モデルマウスの発症予防効果」九大薬学研究院・野田百美准教授, 九大生体防御医学研究所・中別府雄作教授は, 「水素水によるパーキンソン病モデルマウスの発症予防効果」を報告している. H2-含有水を1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラドロプリジン(MTPT)で発症させたパーキンソン症モデルマウスに与えて効果を検討した. 
水素水はパーキンソン病モデルマウスにおいてドパミン神経細胞死を抑制する
学術雑誌名 日本生理学雑誌 
組織 1九州大学大学院薬学研究院病態生理学分野, 2九州大学生体医学防御研究所脳機能制御学分野, 3九州大学大学院医学研究院統合生理学分野, 4九州大学大学院歯学研究院硬組織構造解析学分野 
著者 藤田慶大1, 清家稔博1, 山川裕希子1, 大野みずき2, 山口浩雄2, 山田英孝2, 高木厚司3, 城戸瑞穂4, 中別府雄作2, 野田百美1 
概要 水素分子(H2)は, 生体内で産生される活性酸素のうち最も毒性の高いとされるヒドロキシルラジカル(OH)を選択的に減少させることにより, 酸化ストレスが原因とされる様々な疾患に効果的であることが近年報告されている. 難治性神経変性疾患の代表例であるパーキンソン病も, 酸化ストレスと病態との関連性が強く示唆されている. 我々は, パーキンソン病の病態モデルである1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)を投与したマウスを用い, 水素ガス溶解水(水素水)を飲水させることにより黒質線条体のドパミン神経細胞の脱落が軽減することを見出した. MPTP慢性投与モデルでは, 行動学的変化(自発運動低下)も水素水によって改善された. MPTPによって発生する黒質線条体経路の活性酸素種を可視化したところ, 水素水で有意に抑制された. また, DNA酸化損傷のマーカーである8-oxoguanineの線条体における蓄積も水素水で抑制された. これらの結果から, 水素水は酸化ストレスによる神経細胞死を抑制することが示唆された. さらに, 水素水はMPTP投与後に飲水を始めても効果があったことから, パーキンソン病発症後においてもその進行を防ぐことができる可能性が期待でき, 様々な酸化ストレス疾患に対する予防・治療方法として効果が期待できる. 
Hydrogen rich water bathを用いた新しい臓器保存法
学術雑誌名 Organ Biology  
組織 *1)兵庫医科大学救急, 災害医学講座, *2)ピッツバーグ大学胸部外科学講座, *3)北里大学大学院医療系研究科医科学専攻  
著者 中尾篤典*1),*2), 野田健太郎*2),*3), 川村知裕*2), 小濱圭祐*1), 山田太平*1), 小久保謙一*3), 小林弘祐*3), 小谷穣治*1) 
概要 〔要旨〕近年, 移植医療において, 移植後虚血再灌流障害に対する水素含有保存液の有用性が報告されている. 水素含有保存液をつくる方法として, 臓器保存液に100%の水素をバブリングし, 水素を保存液中に溶け込ませる方法があるが, この方法では保存容器を開放するためコンタミネーションの危険性があり, 安定した水素濃度が得られにくく, さらにバブリングでの気泡による機械的な臓器損傷の可能性もある. また, 高濃度の水素ガスは常に爆発の危険性を有する. これらの危険を回避するため, この研究ではMIZ社が開発したhydrogen rich water bathを用い, そのなかで低温下で臓器を保存液ごと持続的に水素に暴露させ, その効果をラット心移植を用いて検討を行った. ドナーラットから心臓グラフトを摘出し, 保存液とともにプラスチックバックに入れ, 4℃のhydrogen rich water bath, もしくは恒温水槽に浸漬して保存した. 保存時間は同系間移植は6時間, 異系間移植は8時間とした. 保存後のグラフトをレシピエントラットに異所性に移植し, グラフトの再拍動までの時間を計測した. また, 再灌流3時間後に心移植スコア, 心筋傷害マーカー(CPK, troponin I), 炎症性メディエーター(IL-6, IL-1β, TNF-α, ICAM, iNOS)の発現量にてグラフトを評価し, 比較を行った. 同系間, 異系間移植のどちらにおいても, hydrogen rich water bathで保存した場合のほうが再灌流後から再拍動までの時間は有意に短くなり, 移植後3時間でのグラフトの心移植スコアも有意な差があった. また, hydrogen rich water bathで保存した場合のほうが再灌流後3時間での血中のCPKとtroponin Iは有意に低下し, 炎症性メディエーターの発現量も有意に低下していた. これらの結果から, hydrogen rich water bathで保存することによって, 保存中のグラフトに持続的に水素を付加することができることがわかった. また, グラフトをhydrogen rich water bathで保存することにより移植後虚血再灌流障害を軽減できることがわかった. 心移植において, 移植後虚血再灌流障害に対するhydrogen rich water bathの有用性を確認できた. hydrogen rich water bathは移植グラフトの保存に有用であると考えられる. 
心停止蘇生後症候群に対する分子状水素吸入療法の臨床導入への取り組み
学術雑誌名 Shock 
組織 1)慶應義塾大学医学部救急医学教室, 2)慶應義塾大学循環器内科, 3)日本医科大学大学院医学研究科加齢科学系専攻細胞生物学分野 
著者 林田敬1), 佐野元昭2), 太田成男3), 福田恵一2), 堀進悟1) 
概要 「要旨」 心停止蘇生後症候群(PCAS)の病態増悪には虚血再灌流障害による活性酸素が関与している. 分子状水素は, 強力な細胞傷害性をもつヒドロキシルラジカルを選択的に消去し, 分子量が小さいため拡散能に優れるという特徴的な利点を有する(Nature Med. 2007). われわれは, ラット急性心筋梗塞において水素吸入が心筋虚血再灌流障害を軽減し(Biochem Biophys Res Commun. 2008), さらにラットPCASにおいても水素吸入が低体温療法と同程度に脳や心臓の虚血再灌流障害を軽減し予後を改善させる効果があることを示した(J Am Heart Assoc. 2012). 今後, 臨床応用することで同患者の治療に多大な貢献をもたらすと期待される. 現在, われわれは水素投与可能な人工呼吸システムを開発し, 臨床導入への取り組みを行っている. 院外心停止蘇生後患者は, 例え救命できたとしても脳や心臓に重篤な後遺症を残して, 社会復帰率は低く, 生命予後は極めて不良である. 
電解水透析と個人用水処理システム一体型の開発
学術雑誌名 日本血液浄化技術学会会誌 
組織 *1東北大学大学院医学系研究科先進統合腎臓科学コアセンター, *2株式会社日本トリム, *3福島県立医科大学腎臓高血圧内科
著者 樺山繁*1,*2, 仲西直樹*2, 中山昌明*1,*3, 伊藤貞嘉*1 
概要 「緒言」電解水透析は産学共同研究で開発された新しい血液透析(HD)治療であり, 水の電気分解にて高溶存水素(H2)水(電解水素水)を生成, そのRO(逆浸透)処理水を透析液希釈水として用いるシステムである. 本法では, 分子状水素による抗酸化作用を介して透析液生体適合性が向上すること1,2), さらに, 6か月間の臨床研究で, 安全性, 炎症や酸化ストレスに対する抑制効果, 血圧改善効果が確認されている3). しかしシステムは既存の個人用機器へ水を電気分解する装置である電解透析水整水器と電解水タンクを後付するため, スペース占有率の増加による作業環境の悪化, さらに水を電気分解する過程で酸性の排水が原水量の3分の1程度出るという課題があった. そこで排水量を減らし且つ一体型の個人数用水処理装置を開発し評価を行ったので報告する. 「研究方法」電解水透析用のRO水(電解RO水)を作成するためのシステムフローは, 原水→硬水軟水化装置→活性炭→電解透析水整水器(HD-24D, (株)日本トリム社製, この機器で水を電気分解する. )→電解水タンク→個人用RO装置(MH-500/1000CX, 日本ウォーターシステム(株)社製)である(図1). 
電解水透析と多人数用水処理システム一体型の開発
学術雑誌名 日本血液浄化技術学会会誌  
組織 1)東北大学大学院医学系研究科先進統合腎臓科学コアセンター, 2)株式会社日本トリム, 3)福島県立医科大学腎臓高血圧内科
著者 樺山繁1),2), 仲西直樹2), 中山昌明1),3), 伊藤貞嘉1) 
概要 「緒言」 電解水透析は産学共同研究で開発された新しい血液透析(HD)治療であり, 水の電気分解にて高溶存水素(H2)水(電解水素水)を生成, そのRO(逆浸透)処理水を透析液希釈水として用いるシステムである. 本法では, 分子状水素による抗酸化作用を介して透析液生体適合性が向上すること1, 2), さらに, 6か月間の臨床研究で, 安全性, 炎症や酸化ストレスに対する抑制効果, 血圧改善効果が確認されている3). しかしシステムは既存の個人用機器へ水を電気分解する装置である電解透析水整水器と電解水タンクを後付するため, 対象人数が限定される, スペースが占有されつないだホースやケーブルなどにより作業環境が悪くなるといった課題があった. また, 水を電気分解する過程で酸性の排水が原水量の3分の1程度出るという課題があった. そこで排水量を減らし, かつ一体型の多人数用水処理装置を開発し評価を行ったので報告する. 
急性運動負荷に伴う尿中酸化ストレスマーカーの変動に対する水素溶解アルカリイオン水の飲用効果
学術雑誌名 アンチ・エイジング医学 
組織 *1山梨大学教育人間科学部, *2松下電工株式会社電器R&Dセンター, *3山梨大学大学院医学工学総合研究部, *4山梨大学大学院教育学研究科 
著者 小山勝弘*1, 田中喜典*2, 才原康弘*2, 安藤大輔*3, 後藤芳則*4, 片山愛里*4 
概要 アルカリイオン水の生体保護効果として, 電解プロセスで生じる水素ガスの作用が注目されている. 現在まで, ヒトを対象に溶存水素の生理作用を検討した報告はない. 本研究では, 運動に伴い惹起される酸化ストレスを水素溶解アルカリイオン水が抑制するか否かを, 健常男性を対象に無作為化比較試験により検討した. 介入内容は通常水, アルカリイオン水, および高濃度水素溶解アルカリイオン水の2週間連続飲用(0.9L/日)とし, 介入の前後に急性高強度運動により酸化ストレスを誘発させた. 運動前と運動後の24時間尿中へのヘキサノイルリジン, および8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)排泄量の変化をアウトカムとして観察した. 結果, 高濃度水素溶解アルカリイオン水飲用群において通常水飲用群に比べて有意に8-OHdG排泄量の増大が抑制された. 水素ガスは酸化ストレスを低減させる作用を有する可能性が示唆された. 
水素は活性酸素から内耳を保護する
学術雑誌名 頭頸部自律神経 
組織 1)京都大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科, 2)東京大学耳鼻咽喉科  
著者 堀江理恵1), 吉川弥生2), 中川隆之1), 伊藤壽一1) 
概要 「はじめに」強い酸化力をもつ活性酸素種やフリーラジカルの過剰産生により生じる酸化ストレスは, 細胞障害, 細胞死誘導などを引き起こし, 多くの内耳組織障害に関与する. 内耳障害におけるフリーラジカルの関与は, 音響外傷後の蝸牛感覚上皮で報告され2), 以後, 耳毒性薬物や内耳虚血などの急性内耳障害, 加齢による慢性内耳障害など様々な場面で3,4), 内耳における活性酸素障害の予防・治療の重要性が示されている. また, 種々の抗酸化物質の作用には, 物質中の水素原子が関与することが知られており5), 近年, 水素自体を実際の疾病治療に適用した動物実験やヒト臨床試験が報告された6,7,8). しかしながら, 内耳特に感覚上皮に活性酸素を直接発生させる基礎研究は行われておらず, また, 内耳での活性酸素そのものの測定が高い反応性と短い寿命のために極めて困難であった. 
よりよい臓器灌流のための臓器保存法と再灌流時治療 重水, 水素, ヘリウムの生物活性
学術雑誌名 Organ Biology 
組織 *1)北海道大学大学院医学研究科移植外科学講座, *2)北海道大学病院臓器移植医療部, *3)北海道大学大学院医学研究科消化器外科学分野I 
著者 深井原*1), 嶋村剛*2), 武冨紹信*3) 
概要 ドナー不足の解消は移植医療における緊急の解決課題であり, donation after cardiac death(DCD)を含むexpanded criteria donor(ECD)からの臓器提供の実現が方策としてあげられる. 心停止による温阻血と臓器搬送時の冷保存はATPの減少, 酸化ストレス, Ca2+ overload, ミトコンドリア障害, 臓器膨張, 細胞内アシドーシス, 細胞骨格破綻, 膜障害, 炎症性の転写活性因子の活性化などの, グラフト障害の原因となる初期反応を促進し, 再灌流後に酸化ストレス, 微小循環障害, 白血球と血管内皮による炎症反応が相互に作用して指数関数的に増悪する. 近年, 臓器・細胞環境の正常化を目指した臓器灌流の至適条件が模索され, DCDグラフトに対する臨床治験がはじまったが, gold standardは存在しない. 筆者らはECDグラフトの虚血再灌流障害軽減を目的として, 臓器の灌流修復の至適条件と, 冷保存の質の向上, 再灌流時の障害軽減のための方策を併せて検討してきた. 
新しい治療的医療ガス(水素)の救急, 集中治療への応用
学術雑誌名 兵庫医科大学医学会雑誌 
組織 兵庫医科大学救急・災害医学 
著者 中尾篤典  
概要 多くの基礎・臨床研究で, 新しい治療的医学ガスである水素が, 生体にとって重要な生理的活性をもち, その抗炎症作用, 抗酸化作用, 抗アポトーシス作用により様々な病態に治療的効果をもたらすことがわかってきた. 最近, 水素は, 一酸化炭素や一酸化窒素のようにシグナルガス分子であることが明らかになった. 水素は, ガスとして直接吸入するだけでなく, 水溶液として消化管や血管に投与することも出来るため, 比較的臨床応用がしやすいと思われる. 今回, 筆者らのグループの成果を中心に, 様々な疾患モデルで明らかになった水素のもつ多様な治療効果についてまとめ, その臨床応用について考察する. 水素は治療的効果, さらに予防医学的にも価値が高い医療ガスであると思われる. [緒言] 全身麻酔の際の吸入麻酔薬や, 酸素, 笑気に代表されるように, 医学領域において治療手段として用いられるガス分子は, 治療的医学ガス(メディカルガス)とよばれる. 
ラット心停止モデルを用いた水素吸入療法と低体温療法の予後改善効果の検討
学術雑誌名 Shock 
組織 1)慶應義塾大学医学部救急医学教室, 2)慶應義塾大学医学部循環器内科, 3)日本医科大学大学院医学研究科加齢科学専攻細胞生物学分野 
著者 林田敬1), 佐野元昭2), 上村尚美3), 横田隆3), 太田成男3), 福田恵一2), 堀進悟1) 
概要 「要旨」[目的]蘇生後症候群に対する水素吸入の効果を検討すること. [方法]Wister ST ratを用い心室細動モデルを作成し, 蘇生開始時にN2群(98%酸素+2% N2), H2群(98%酸素+2% H2), N2+低体温療法(TH, 体温33℃・2時間)群, H2+TH群の4群に分け, 72時間生存, 蘇生24時間後Neurologic deficit score, 心血行動態を評価した. 心肺蘇生開始時から心拍再開2時間, ガス吸入を行った. [結果]生存率はN2群(30.7%)に対し, H2群(69.2%), N2+TH群(69.2%), H2+TH群(76.9%)で有意に高かった. NDSは, H2群, N2+TH群でN2群より有意に低く, H2+TH群ではH2群, N2+TH群より有意に低かった. N2群では蘇生2時間後の左室拡張末期圧上昇をみとめたが, 水素吸入群では有意に低値であった. 蘇生24時間後の心筋組織では, 水素吸入による凝固壊死, 4-HNE, 8-OHdGの抑制をみとめた. [結語]心停止蘇生後群に対する水素吸入療法は, 虚血再灌流障害を軽減し予後を改善する新規治療薬となりうる. 
医療用ガスとしての水素ガスの可能性
学術雑誌名 Medical Gases 
組織 慶應義塾大学医学部循環器内科 
著者 佐野元昭 
概要 [要旨] 2007年に水素ガスの選択的活性酸素除去作用が発見されて以来, 動物実験で水素ガスの効果が検証され, 脳梗塞, 心筋梗塞, 臓器移植, 高濃度酸素による肺損傷, 放射線被爆, 心肺蘇生後などの様々な医療場面での水素ガスの有効性を期待させるエビデンスが学術論文として200報以上報告されてきている. 近い将来, 内科, 外科, 救急医療科, 麻酔科など様々な領域で水素ガスが医療用ガスとして汎用される時代が来るものと予想される. [水素ガス] 水素ガスは燃焼性と爆発性を有するが, 4%以下の濃度ではいずれの性格を認めない. 水素ガスの生物学的安全性に関しては, 人への投与経験があることから担保されている. 潜水病の予防のために, 潜水夫を潜水艇で海中深く潜水させ, 水素・ヘリウム・酸素の混合ガスで18日間生活させた報告があるが, 特に健康被害に関する記載はない1). 
NOと水素ガス併用の意義
学術雑誌名 Medical Gases 
組織 北里大学大学院医療系研究科  
著者 小林弘祐, 小久保謙一 
概要 [要旨] 一酸化窒素(NO)には抗炎症作用がある反面, peroxynitriteを産生し, 細胞を障害する. 一方, 水素(H2)はperoxynitriteを減少させる. マウス心筋虚血・再灌流モデルで腸内細菌の役割とNO・H2併用吸入効果を検討した. 抗生物質投与で腸内細菌からのH2産生をなくすと心筋梗塞領域が拡大し, 80ppmNO, 2%H2吸入どちらも心筋梗塞領域を減少させ, 併用吸入はより心筋保護効果があった. [はじめに] 一酸化窒素(NO)吸入は肺血管の拡張を起こすが, ヘモグロビンと結合してすぐに不活化され, 一般の血管拡張薬とは異なり体血圧は下げず, さらに, 抗炎症作用があることも認められている. しかし, 臨床現場では期待されたほどの効果が発揮できていない. その原因として, 炎症細胞はsuperoxide anionを産生し, NOはsuperoxideと結合してperoxynitriteになり, peroxynitriteは種々の細胞成分をニトロ化する. 
水素水の機能性, 数々の学術論文から明らかに 抗がん・活性酸素抑制・糖尿病発症予防など
学術雑誌名 食品工業  
組織
著者 月田信太郎
概要 「水素水の生体への機能性の研究・報告が活発に」アーガコーポレーション(表俊明社長, 本社・愛知県名古屋市中区新栄2-4-7 東和パークビル東館301号, TEL 052-938-7922)は, 溶存水素濃度が1,889ppbと高濃度を示し, またRO(逆浸透膜)フィルターで水道水に含まれるカドミウム, 水銀, 鉛, ヒ素などとそれら化合物の不純物を除去した純水をスーパーオールフィルターにより約70種類の有機ミネラルを含むミネラルウォーターに変えたあと, 独自に開発の水素・酸素装置から発生する水素ガスを冷水タンク内の水に充填して飽和状態水素水をつくり出す装置を製造し, 量産化態勢へと進み始めた. 水素水サーバーの販売名は「ONENER(ワンナー)」で, 3品種シリーズとなっており, 小売希望価格は13万1,250円~7万6,650円で, ミネラルウォーターを生み出すスーパーオール(Super Ore)フィルターは特許出願中である. 水道直結により1日の製造量は約600L, 水道料は電気料込みで1日当たり20~30円とされ, 水素水の水温は4℃, 温水は機能付きで90℃の性能を有している. 
水素分子医学の現状と展望
学術雑誌名 基礎老化研究 
組織 東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム・環境老化 
著者 大澤郁朗
概要 [要約] この4年間に多様な疾患に対する水素分子(H2)の効果が報告されてきた. H2はヒドロキシルラジカルなど毒性の高いラジカルを選択的に還元する. 動物モデルにおける水素ガスの吸引は, 脳, 心臓, 肝臓の虚血再灌流(I/R)障害を抑制し, 心臓や小腸の移植後障害を軽減した. 水素溶存点眼薬は網膜のI/R障害を抑制し, 水素飽和生理食塩水の静注は心臓, 小腸, 腎臓のI/R障害を抑制した. さらにH2を高濃度に含む水(水素水)を動物モデルに飲用させたところ, ストレスによる認知機能低下, 薬物によるドパミン神経細胞の変性, シスプラチンの腎毒性, 慢性移植腎症がそれぞれ改善された. 水素水の臨床研究ではLDLと酸化ストレスが抑制されている. また, H2を添加した腎透析の臨床研究では血圧が改善された. 体内で容易に拡散し, 人に対する安全性も高いH2は, 酸化ストレスや炎症に関連する多くの疾患で新しい治療法となることが期待される. 
Can Deadly Gas Save Life?治療的医学ガス(水素および一酸化炭素)の外科領域への応用について
学術雑誌名 日本医科大学医学会雑誌 
組織 米国ピッツバーグ大学移植外科スターツル移植研究所 
著者 中尾篤典
概要 外科手術後の合併症, および重篤な臓器障害は外科領域の患者の予後を大きく左右している. 近年, Medical gases(治療的医学ガス)の研究が進んでおり, その抗炎症効果, 抗アポトーシス効果が注目されている. 医学ガスは効果が強く, 生理的で, 呼吸管理下の患者に容易に与えることができるため, 臨床応用が比較的容易であると考えられる. すでに一酸化窒素(NO)は臨床の現場で用いられ, 一定の効果があると認められているが, われわれの研究室では, 最近注目されている治療的医学ガスである一酸化炭素(CO), および水素について研究を行っており, これらの医学ガスの臨床応用にむけて努力している. なかでも, 世界にさきがけて日本医大から始まった水素の研究の進歩はめざましく, われわれも水素水を含め, 精力的に研究を行っている. 今回はわれわれの外科領域における治療的医学ガスの効果について, 最近の知見をご紹介したい. 
水素水の生体への効果
学術雑誌名 アンチ・エイジング医学 
組織  *1日本医科大学大学院加齢科学系専攻, *2慶應義塾大学医学部眼科学  
著者 太田成男*1, 坪田一男*2 
概要 「水素水とは何か?」一般に, 砂糖を水に溶かした溶液を「砂糖水」といい, 食塩を水に溶かした溶液を「食塩水」という. 同じように, 水素分子(H2)が水に溶けた溶液を「水素水」と呼ぶ. 水素分子が水に溶けている状態は, 酸素分子(O2)が水に溶けている状態とほぼ同じと考えればよい. 酸素分子が水に溶けているのは, 魚が水の中の酸素分子を取り入れて呼吸していることからよくわかる. 水素分子は, 1気圧の水素ガスと水が接していれば常温で0.8mM程度溶ける. 重量濃度でいうと1.6ppm(parts per million)である. 溶存水素量をppm表示すると, 水素分子はあまり溶けない印象を与えるかもしれないが, 分子量が小さいので重量濃度で表示すると値が小さくなるだけである. また, 水素分子の溶解度は温度によってあまり変動せず, 100℃でも0.4mM溶ける. 水素水には温めて飲むこともできる利点がある. 水素分子は, プラスチックを透過するので, 保存するにはアルミニウム(あるいは酸化アルミニウム)の容器を必要とする. したがって, ペットボトルで販売されている水があったら, それは水素水ではないと判断してよい. 
水素の水を飲んで健康になる? 
学術雑誌名 呼吸 
組織 帝京短期大学
著者 諏訪邦夫 
概要 「健康のために水素を飲む」という話をご存知でしょうか. 「酸素を吸う」や「酸素の溶けた水を飲む」というのは新聞やテレビで何回かみていましたが, 今度は水素です. 調べてみたら「水素+健康」のキーワードで検索して実に3百万件もみつかって, びっくり仰天です. いろいろな広告 当然のことながら, 広告が多いのは予想した通りです. そのなかに, 文章が書いてありながら実は画像になっていて, コピー/ペーストして読むことは不可能なものが少なくありません. "爽快水素"(http://www.123-8.com/)は「食べて健康」という点が特徴ですが, 内容はまったく意味不明で無視せざるを得ません. 「水素の入った水」「水素水」というのが多く, 「水素たっぷりのおいしい水」(http://www.melodianhf.com)には「世界的科学雑誌『ネイチャーメディシン』に水素水研究成果が掲載されました」とあって太田成男日本医科大学教授が次の文章を書いています. 
水素のおならでアンチエイジング
学術雑誌名 眼科ケア 
組織 慶應義塾大学医学部眼科学 
著者 坪田一男  
概要 アンチエイジングの視点から, 牛乳は健康に良い, 良くない, という見解が分かれている. 良いという説は, バランスの良いアミノ酸が豊富に含まれていること, 牛乳を摂取している群のほうが長生きで健康的であるという疫学研究などが挙げられている. 一方, 良くないとする説には, カロリーをとってしまうことや, 血糖値が上がること, アレルギーを悪化させたり, 女性なら乳がんの可能性を高めることなども指摘されている. そもそも動物の赤ちゃんを育てるためのミルクを大人の人間が食すること自体不自然で, 必要のないものだという主張もある. 僕自身は子どものころから牛乳が大好きで, 「牛乳は健康によい」と教えられてきたから, ランチの時などは500ccのパックを1本飲んでいた. でも, たしかに血糖値が上がることがわかって, それからは200ccのパックに控えた. ところが最近, また500ccのパックに戻った. 
牛乳を飲んで水素のおならを出す!
学術雑誌名 アンチ・エイジング医学 
組織 慶應義塾大学医学部眼科学教室 
著者 坪田一男 
概要 最近は酸化ストレス仮説も大きく進歩して, “酸化ストレスがすべて悪いわけじゃない”と考えられるようになってきた. 京都大学の篠原隆司先生のラボから発表され, 先月号のCell Stem Cellに掲載された“ROS Are Required for Mouse Spermatogonial Stem Cell Self-Renewal”はその金字塔的論文だ1). 従来, ステムセルは酸化ストレスに弱いと考えられおり, 特に造血幹細胞では, 酸化ストレスコントロールのためにも骨髄の中のニッチで守られていると考えられてきた. しかし, ネズミの精子形成においては, ある程度の酸化ストレスが逆に必要というのが今回の結果である. 精子と血液の違いはあるものの, 酸化ストレスがある程度必要というテーゼは強く証明された. すぐにヒトに適用できる理論とはならないが, 抗酸化サプリメントを摂りすぎて男性機能が抑えられてしまう可能性については頭の隅に入れておくべきだろう. 
治療薬としての水素, その臨床応用に向けて
学術雑誌名 日本医事新報 
組織 ピッツバーグ大学医学部外科  
著者 中尾篤典
概要 「summary」近年, 水素分子(H2)が虚血再灌流障害をはじめとする種々の疾患モデルに対して有効であることが明らかになり, 急速に水素の研究が進んできた. 水素は気体として吸入させるだけでなく, 水溶液として経口投与, 静脈内投与, あるいは局所投与することによっても効果を発揮し, 多方面で有効性が報告されている. 本稿では, 水素に関する最近の研究成果をまとめ, 臨床応用への可能性を考察する. 水素はシグナルガス分子としても脚光を浴びつつあり, 酸化ストレスシグナルを抑制する可能性をも含めて今後のさらなる研究の発展が期待される. 「はじめに」近年, 水素分子が脳虚血に対し治療効果があることが日本医科大学のグループにより初めて報告され, 新たな治療法として期待されるようになった1). ここ数年で, 水素は様々な形で多様な疾患モデルに応用され, その治療効果についての研究は急速に進歩している. 
分子状水素のサイエンス
学術雑誌名 アンチ・エイジング医学 
組織 名古屋大学大学院医学系研究科・神経遺伝情報学 
著者 大野欽司 
概要 「はじめに」 2007年6月に日本医科大学のOhsawaらが, 水素ガスの脳梗塞モデルラットに対する顕著な効果を報告した1). Ohsawaらは, 水素が水酸化ラジカル(hydroxyl radical, ・OH)を特異的に消去し, 効果は弱いながらも過酸化亜硝酸(peroxinitrite, ONOO-)も消去することを示し, 水素の選択的なラジカルスカベンジ作用が顕著な効果の分子基盤である可能性を示した. また, 細胞培養実験にて水素が酸化ストレスによる細胞死を抑制することを実証している. この研究に引き続き, 本稿執筆時(2011年5月)までに合計47種類のモデル動物実験系, 3種類のヒト疾患, 4種類の細胞培養実験系の合計54種類の実験系における水素の有用性が報告されてきている(表1). この2ヵ月間に新たに9種類の実験系における水素効果が報告をされており, 水素が有効である病態モデル系を網羅的に集計することが事実上不可能になりつつある. 
抗酸化物質としての水素分子:”水素医学”の期待と展望
学術雑誌名 日本病態生理学会雑誌 
組織 九州大学薬学府病態生理学分野 
著者 藤田慶大
概要 酸化ストレスという言葉が一般的になり, その主役である活性酸素・活性窒素種の過剰な産生がなぜ起こるのか, そしてそれらを如何にして減らすかという研究が盛んになると共に, 多くの抗酸化剤の候補が登場した. しかしながら, 未だかつてこれほど小さな, それでいて有力な候補物質があっただろうか, と思えるような報告がなされたのは, 今から3年前の2007年. 日本医科大学の太田教授らのグループが, 「水素分子が抗酸化物質として酸化ストレスを軽減する」ことをNature Medicineで報告(Ohsawa et al., 2007)して以来, 水素分子の抗酸化作用が組織障害を防ぐという研究報告が次々と発表されている. Ohsawaらの論文では, 脳梗塞モデルラットに対して水素分子を2%含んだガスを吸入させると, 梗塞巣の拡大を防ぐことができ, その効果は細胞傷害性ラジカルであるヒドロキシルラジカルを選択的に除去することによると報告されている. 
水素水の飲用がビタミンCの不足による脳での活性酸素の増加を抑制する
学術雑誌名 ビタミン 
組織 1東邦大・薬・生化学, 2ビタミンC研究委員会 
著者 佐藤安訓1, 石神昭人1, 錦見盛光2, 重岡成2, 倉田忠男2, 村田晃2 
概要 【目的】 水素は毒性の強い活性酸素であるヒドロキシラジカルの発生を抑制, または減少することが知られている. 本研究では, 水素を飽和状態まで溶かした精製水(水素水)の飲用が脳での活性酸素の発生を抑制できるかを, ビタミンC(C)を合成できないSenescence marker protein-30(SMP30)/グルコノラクトナーゼ(GNL)ノックアウト(KO)マウス及びリアルタイムに脳での活性酸素の量を測定できる装置を用いて比較検討した. 【方法】 4週齢のKOマウスを, (1)水素水を与えた群, (2)1日に必要とするC量の100%(C, 7mg)を与えた群, (3)水のみを与えた群の3群に分け, 1ヶ月間飼育した. 水素は揮発性が高いため, 飲料水の交換を1日に2回行った. 脳での活性酸素の検出には, スーパーオキシド(O2-)に特異的に反応する化学発光試薬Lucigeninを用いた. 
水素分子による新しい概念の抗酸化治療法と予防医学
学術雑誌名 実験医学 
組織 日本医科大学大学院医学研究科加齢科学系専攻細胞生物学分野 
著者 太田成男, 大澤郁朗 
概要 ミトコンドリアは活性酸素種の発生源である. 水素分子(H2)は適度な還元力をもち, 有害な活性酸素種を選択的に細胞内で還元消去した. また, 水素分子を溶解した培養液で細胞を培養すると酸化ストレスによる細胞障害性は軽減された. 虚血再灌流により急激な酸化ストレスを与えたとき, 2%程度の水素ガスを吸引させることでモデル動物の組織は保護された. さらに, 水素分子を水に溶かして動物に自由摂取させるとモデルマウスの動脈硬化や, 身体拘束マウスの認知機能低下は抑制された. これらにより水素分子の治療効果と予防効果が示唆された. 「はじめに」われわれは, 水素分子(H2)が活性酸素種を選択的に細胞内で還元することを見出し, 酸化ストレスによって生じる疾病の治療と生活習慣病など病気の予防に水素が応用できる可能性を示唆した1). ここでは, その原理と応用の可能性を述べる. 1 ミトコンドリアにおける活性酸素種の生成と消去 ミトコンドリアでは, 電子伝達系(あるいは呼吸鎖ともいう)により内膜間に電気化学的ポテンシャルを生じさせ, この電気化学的エネルギーをATPの化学エネルギーに変換する. 
高濃度水素ナノバブル水の製造と水素水の活性酸素除去による抗腫瘍効果とハイパーサーミア併用効果の検討
学術雑誌名 Thermal Medicine  
組織 1大阪物療専門学校, 2広島化成(株), 3大阪市立大学大学院医学研究科, 4県立広島大学 
著者 朝田良子1, 蔭山勝弘1, 田中博司1, 松井久一2, 木村政継3, 三村晴子4, 斎藤靖和4, 三羽信比古4 
概要 【緒言】われわれはマイクロポーラスフィルターを備えた水素噴射装置を開発することにより, 直径900nm以下が71%で水素含有量が1.1-1.5ppm(酸化還元電位-640mV)という水素ナノバブル水を製造することができた. がん細胞が増殖時に必要な活性酸素を消去することができる水素水の抗がん作用およびハイパーサーミア併用効果ついて研究した. 【方法】水素水製造装置を使用して水素を噴射して作製した培養液にエールリッヒ腹水がん細胞を加えて37℃および42℃で30分間温熱処理を行い, 20時間または72時間培養した後にWST-8法(比色法)を用いて細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性を測定し, その低下により抗がん効果を評価した. 【結果および考察】抗がん効果は細胞密度に影響され, 最も密度が低い1×104細胞数/mlが最も効果が高かった. 水素水のみならず, ミネラル水(15.6%), ミネラル水+水素水, プラチナ(Pt, 0.3ppm)+ポリヴィニールピロリドン(PVP, 4%), ならびにPt+PVP+水素水の抗がん効果を比較したところ, 最後者が最も効果が高く, ハイパーサーミアの併用により増感した. 
ナノ素材フラーレンと水素ナノバブル水の抗がん効果・細胞死制御効果
学術雑誌名 Thermal Medicine 
組織 県立広島大学生命環境学部/NEDOフラーレンプロジェクト 
著者 三羽信比古
概要 (1)ナノ素材フラーレン誘導体の抗がん効果 フラーレンは炭素原子60個だけから成る直径0.7nmのサッカーボール状分子であり, 分子表面には豊富なπ-電子雲が被覆して分子自転するので, 周辺の活性酸素との接触効率は良好と考えられる. 元来は油溶性であるフラーレンを水溶化させて水相での細胞や組織を用いた研究に供し, メラニン抑制剤として製品化し, 紫外線(UV)防御剤・脂質代謝改善剤へも応用開発を目指している. フラーレンをPVP(ポリビニルピロリドン)に包接させた複合体は, メラノーマB16BL6の尾マウス静脈から肺へのがん転移を抑制し, 同じ細胞の再構成基底膜への浸潤も抑制することを見出した. フラーレン不含PVPは無効だった. PVP-フラーレンはヒドロキシルラジカルを消去するが, PVPは無効であることをDMPOスピントラップ/電子スピン共鳴法で見出した. 浸潤を促進する活性酸素をPVP-フラーレンが消去する作用を介してがん浸潤を抑制すると考えられる. PEG(ポリエチレングリコール)に包接させたフラーレンはヒト皮膚繊維肉腫細胞HT-1080に対して殺傷効果が認められないが, 可視光を照射すると抗がん効果が認められた. PEGは光触媒活性がないので, フラーレンの光励起に基づくと考えられハイパーサーミアとの併用も期待できる. 
「周産期脳障害の病態解明と新規治療戦略―分子状水素に着目して」
学術雑誌名 産科と婦人科 
組織
著者 眞野由紀雄 
概要 [研究との出会い] 私の基礎研究との出会いは, 多くの先生と同じく大学院入学がきっかけでした. 名古屋大学産婦人科では, 卒後後期研修終了前後まで関連病院で臨床の研鑽を積み, その後大学院生として最初2年ほど大学病院での臨床業務を行うかたわら基礎研究を開始し, 後半2年は臨床からいったん離れ, 研究に打ち込むというのが学位取得までの一つのキャリアパスです. 臨床フリーの時期は, 産婦人科内で研究を続ける先生, 国内外留学や学内の基礎系研究室への出向まで様々ですが, 私は酸化ストレスによる発癌でご高名な豊國伸哉教授の名古屋大学医学部生体反応病理学教室で2年間研究をさせていただきました. 帰局時より産婦人科内の周産期研究室に配属されていたこと, 私自身が周産期医学に強い興味があったことから, 豊國研究室のメインテーマの一つである「酸化ストレス」に起因する周産期関連の研究テーマを豊國教授, 当研究室チーフの小谷先生と相談し, 今回の科学研究費をいただいた分子状水素を用いた周産期脳障害治療の検討をさせていただくことになりました. 
脳保護療法の新しい試み
学術雑誌名 脳卒中 
組織 1)日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野, 2)日本医科大学大学院医学研究科加齢科学系専攻細胞生物学分野  
著者 桂研一郎1), 須田智1), 戸田諭補1), 金丸拓也1), 太田成男2), 片山泰朗1) 
概要 「要旨」:近年, 急性期血栓溶解療法, 機械的血栓除去術などにより急性期再灌流療法の進歩は著しい. しかしながらその恩恵を受けられるのは限られた患者であり, 依然としてより効果のある脳保護療法の登場がまたれている. 我々が今回紹介するのは新しい観点からの脳保護療法の試みである. 第一は治療効果が高い脳保護的な蛋白質に, 蛋白細胞導入ドメインを融合させることにより, 静脈内への1回投与で神経細胞にまで到達させ脳保護的に働かせる方法である. 次に全く新しい方法として, 低濃度の水素ガスを吸入させると, 脳梗塞体積が減少する結果を報告してきた. 水素ガスには軽微なフリーラジカルスカベンジ作用があり, 最も毒性の強いhydroxyl radicalを選択的に消去することがわかってきている. さらに, すでに臨床で使用されている薬物を脳梗塞急性期治療に応用する方法として, 抗てんかん薬であるバルプロ酸の急性期脳保護効果についても紹介する. 
水電解式水素発生入浴装置の使用による入浴後の生体に及ぼす影響
学術雑誌名 日本未病システム学会雑誌 
組織  1)東京大学大学院医学系研究科, 2)昭和薬科大学病態科学研究室  
著者 山野井昇1), 小野寺敏2) 
概要 「1. 研究目的」近年, 水素にはヒドロキシルラジカル(・OH)などの人体にとって有害な活性酸素を選択的に除去する作用を有することが明らかになっている. 現在, 健康面での応用としては, 水素を飲用水に溶存させた「水素水」という形で, 体内に経口摂取するのが主流である. さらに, 物理特性としての水素は, 種々の元素の中で最も小さく軽量で揮発・上昇しやすく, 鼻や呼吸器系からも体内に吸収され, 様々な生理反応を生じることが多々研究報告されている. そこで今回, われわれは, 呼吸器系および経皮吸収の面から水電気分解式の水素発生装置によって, お湯をはった浴槽の底より水素ガスを微細に気泡化させ, 普段の日常生活における入浴において, 水素が人体にどのような生理的および心理的影響をもたらすのかを検証した. 「2. 実験方法」実験に使用した水素発生装置(Spa-H, 株式会社フラックス製, 本体:200Φ×H80mm, 重量1.45kg, 消費電力70W)は, 水の電気分解の原理により, 浴槽内のお湯にミクロな泡の水素ガス(H2)を豊富に溶存させることができる入浴装置である. 
水素風呂による抗シワ・皮膚ハリ促進の臨床効果
学術雑誌名 FRAGRANCE JOURNAL  
組織 県立広島大学生命環境 
著者 加藤信哉 
概要 水素風呂の抗シワ/ハリ増強の臨床効果を調べ, ヒト皮膚細胞を用いてメカニズムを解析した. 実験用整水器で電解水素温水(HW, 溶存水素: 1.13ppm, 41℃)を調製し, 対照として水素不含の通常温水(RW)を用いた. その結果, 毛穴拡張に伴う水素浸透効果が活性酸素の消去/皮膚細胞死の防御/コラーゲン構築促進を介し, 日常の紫外線A波による皮膚傷害/シワの防御と皮膚ハリをもたらすと示唆された. 
水素風呂による抗シミ臨床効果と色素細胞でのメラニン抑制効果
学術雑誌名 FRAGRANCE JOURNAL 
組織 県立広島大生命環境 
著者 斉藤靖和 
概要 電界水素温水(HW)の抗シミ/頭髪防護効果を細胞レベルと臨床試験で検討した. 整水器で水道水温水を電解して生成した水素温水(HW, 溶存水素: 0.19~0.41ppm, 41℃)を調製した. その結果, 水素風呂は溶存水素約0.3ppmでも3カ月間の毎日反復で抗シミ効果を示した. 41℃の水素風呂での毛穴拡大に伴う皮膚表皮深部への水素浸透が, メラニン生成の引き金となるUVA由来活性酸素を消去して抗シミ効果をもたらし, 頭髪キューティクルのケラチン蛋白構造の微小間隙に浸透した温水シャワー中の水素がUVB誘発性損傷を抑制したと考えられた. 
パーキンソン病モデルマウスにおける水素含有飲用水の効用
学術雑誌名 日本病態生理学会雑誌 
組織 九州大学薬学府病態生理学分野
著者 藤田慶大
概要 この度, 第19回日本病態生理学会大会におきまして, 奨励賞を受賞いたしました. 審査に携わった先生方, 並びにこれまで私の研究に多大なご尽力を賜りました多くの先生方に, この場をお借りいたしまして深く感謝いたします. 私の研究テーマは, 「脳内酸化ストレスに対する水素分子の神経保護作用の検討」です. 水素分子に関する研究は, ごく最近注目され始めたため, あまり馴染みのない方も多いかと存じます. 遡ること2年前の2007年, 日本医科大学の太田成男教授の研究グループが「水素分子は選択的に細胞障害性ラジカルを消去することで抗酸化作用を示す」ことを, Nature Medicineにて報告されました. この論文では, 水素分子を添加した細胞培養液によって, 活性酸素消去による細胞障害抑制効果を発見しただけでなく, ラット中大脳動脈における虚血・再灌流モデルに対して2%水素ガスを吸入させると脳梗塞巣の拡大が著明に抑制され, 活性酸素産生も抑制されることを報告しました. 
青年期を対象とした温泉水素水飲用の安全性
学術雑誌名 米子医学雑誌  
組織 1)鳥取大学医学部保健学科成人・老人看護学講座, 2)鳥取大学大学院医学系研究科  
著者 平松喜美子1), 池田匡1), 三好雅之2), 大庭桂子1), 野口佳美1), 芦立典子1), 西村直子1) 
概要 「はじめに」近年, 人々の健康志向が高まり, 多くの水製品が健康飲料として市販されている. 人間の身体の60%は水でできており, 水は生命にとって必要不可欠の成分である. 水なくしては生命の存続はありえない. 満尾1)は, 水は健康を維持し自然治癒力を高めるために欠かすことの出来ない働きをしており, 水を良いものに変えることで健康を維持したり, 自然治癒力を高めることができると述べている. 飲用水には名水と言われる水や, 糖分を含まない茶系飲料, 健康に有効なカテキン, アミノ酸, 各種ビタミンなどを添加した機能性飲料水などがある. 2007年に大澤ら2)が, がんや多くの生活習慣病を引き起こす活性酸素を, 水素ガスで効率的に除去できることを動物実験で明らかにし, 水素水などの商品が脚光を浴びるようになった. 「水素水」に関する研究には, 岡安ら3)が抗がん効果と活性酸素抑制効果について, 佐藤ら4)がビタミンC不足による脳の活性酸素の増加の抑制について, 太田ら5, 6)は生体の効果や老化について, 具然7)は抗酸化効果と抗糖尿について水素水の有効性を明らかにしている. 
水素分子医学の現状と展望
学術雑誌名 基礎老化研究 
組織 東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム・環境老化 
著者 大澤郁朗
概要 [要約] この4年間に多様な疾患に対する水素分子(H2)の効果が報告されてきた. H2はヒドロキシルラジカルなど毒性の高いラジカルを選択的に還元する. 動物モデルにおける水素ガスの吸引は, 脳, 心臓, 肝臓の虚血再灌流(I/R)障害を抑制し, 心臓や小腸の移植後障害を軽減した. 水素溶存点眼薬は網膜のI/R障害を抑制し, 水素飽和生理食塩水の静注は心臓, 小腸, 腎臓のI/R障害を抑制した. さらにH2を高濃度に含む水(水素水)を動物モデルに飲用させたところ, ストレスによる認知機能低下, 薬物によるドパミン神経細胞の変性, シスプラチンの腎毒性, 慢性移植腎症がそれぞれ改善された. 水素水の臨床研究ではLDLと酸化ストレスが抑制されている. また, H2を添加した腎透析の臨床研究では血圧が改善された. 体内で容易に拡散し, 人に対する安全性も高いH2は, 酸化ストレスや炎症に関連する多くの疾患で新しい治療法となることが期待される. 
フリーラジカル
学術雑誌名 BRAIN MEDICAL 
組織 日本医科大学内科学神経・腎臓・膠原病リウマチ部門 
著者 桂研一郎, 片山泰朗 
概要 活性酸素・フリーラジカルは内在する防御機構が障害されると, 病的状態を作り出す. 脳虚血急性期, 亜急性期に活性酸素・フリーラジカルの産生が亢進し, 細胞核の傷害を含め, 種々のダメージを生体に与えていることは明らかである. フリーラジカルスカベンジャーとして多数の薬物の臨床治験が行われたが, 臨床で使われているのは日本におけるエダラボンのみとなっている. しかしながら, 活性酸素・フリーラジカルの消去が脳虚血の細胞傷害保護に重要な役割を示すことは明らかであり, 新しい薬剤が期待されている. 「1 フリーラジカルと活性酸素」通常, 原子や分子の軌道電子は2つずつ対になって存在し, 安定な物質やイオンを形成する. ここに何らかのエネルギーが加えられると, 電子が励起されて移動したりして不対電子ができ, フリーラジカルとなる. 不対電子は対になろうとするため, フリーラジカルは一般に不安定であり, 反応性が高い. 
水素置換で向上するパプラール製剤のヒドロキシルラジカル消去反応機構
学術雑誌名 薬理と臨床 
組織 *1京都工芸繊維大学大学院生体分子工学部門, *2安田女子大学薬学部, *3安田女子大学家政学部 
著者 田嶋邦彦*1, 小松るしる*1, 櫻井康博*1, 大石俊恵*1, 金折賢二*1, 森本千恵*2, 坂本俊治*3 
概要 要旨 パプラール製剤のヒドロキシルラジカル消去活性の機構に関する知見を得るために, パプラール製剤への水素置換が消去活性に及ぼす効果をフローインジェクションESR(電子スピン共鳴, FI-ESR)装置によるスピントラッピングESR法で検討した. スピントラッピングESR測定には5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide(DMPO)を使用し, 過酸化水素の紫外線分解で生成するDMPOのヒドロキシルラジカル付加体であるDMPO/OHラジカルを測定対象とした. DMPO/OHラジカルの濃度がコントロール溶液の50%に減少したパプラール製剤の希釈率(ID50, 体積%)を, ヒドロキシルラジカルの消去活性の指標とした. パプラール製剤を開封直後に窒素置換した試料のID50値は0.41%であったが, 水素置換したパプラール製剤のID50値は0.15%に低下し, ヒドロキシルラジカル消去活性が顕著に向上した. さらに, 水素置換したパプラール製剤を再び窒素置換後に同様の測定を行うと, ID50値は0.35%に増加した. これらの結果はパプラール製剤の抗酸化活性が, 白金およびパラジウムコロイドの表面に吸着している水素に起因する可能性を支持している.